MUCOLU

【2022 1/27付 ムコル 第4号】

「パックスレック  label RECORE」が音楽情報をお届けします。

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今回は,前回に引き続き音楽制作プロデューサー P/D Karasawaのコラムをお送りします。氏が語る、アナログ楽器が主流だった時代に生きたミュージシャンの裏話が好評でした。


今回は、デジタル編集が当たり前の昨今、それ以前のアナログ録音が普通だったスタジオワーク。その時代から現在の状況を語って頂きました。


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アナログNG発酵作品集のお話

▶年間を通して、お客様の前でのライブやコンサートは1、2回程度です。そろそろ人様の前に……とは願ってはおりますが、コロナが収まるまでは無理ですね。

今回は、年齢を重ねてしまったスタジオの同僚を代表して、私、Karasawaが語ります。



▶制作仕事は、CM、劇伴が大半。近年のような、短時間で仕上げまでが可能な、デジタル編集が主流でなかった時代、簡単に作品へNGを出すクライアントさんや広告会社の担当方々に対し、只々、黙々とリクエストを聞き、徹夜を続けOKテイクが頂けるまで作り続けました。NG作品の大半は、例えば曲名は「87-10-2ーA02」などで、闇から闇のように、ファイルデータ保管サーバー送りに。



▶まあ、ハッキリ言って音楽芸術に携わる者などではなく、商品にお金を産ませる目的の物を作る生産業者です。他の音楽作品も背景には利益を目的にした物。今も同じではあります。



 さて、あの時代から今、数十年が経過しました。たまに行うファイル整理作業中に手を止め、それらを聴いてみると、中には驚くほどの響きを出す曲もあります。

まるでお家代々に伝わる糠床のようなものでしょうか。“発酵作品”です。最近、そんな発酵したNG作品群を、時間をかけて編曲しています。


▶そして今、リミックスした“発酵曲”を、アンビエントサウンドのSPIRIT SEASONのセンスにより息を吹替えし、これまで3アルバムがリリースされました。


今後は、フィジカルCDリリースを予定しています。

(マイナー中のマイナーですけど。)


  デモ曲やNG曲のファイル数を見ながら考えてみますと、一発でOKをもらえなかった力の無さに反省しています。


▶食品の無駄ではないのですが、よくもまぁ、こんなに音楽の無駄使いを重ねてきたなと、力不足に加え、真剣さに欠けていたのかも知れません。


時にはこんな言葉を出すクライアントさんがいました。「このギターの音は嫌いだから、違う種類のを入れてくれる?」とか「ここにシタールを入れてみてくれないかな」等。(意味ないんだけどなぁ……)そして全てを、その通りにしたら、「やっぱり外して」とか。

 


思い起こせないほどユニークな出来事は沢山ありました。



▶お任せ頂けない仕事に関しては意見を尋ねられても、一切こちらの考えは言わない上、押し付けないようにしてきました。たとえ15秒、20秒作品の短尺でも。

「ここをガーッと盛り上がり、ここでスーッと引いて、最後は振り返って笑うようなイメージ!」

(ガースー?よく分かりませ~ん)


ただただ、黙って広告代理店の営業担当の方が言う通りに従ってきたわけです。


▶劇伴や映像作品のサウンドトラックなどでは、プロデューサーさんや制作者の方々は、音楽家としてのフィールドで扱って下さるので、とても嬉しく、ありがたく、無言ということは無かったのですが、広告音楽の仕事では、「船頭多くして舟、山に登る」たまにあるわけです。なので、私達制作者は決して先頭にはならないように心がけていました。


心の中では「この作品、映像も奇麗だから別に音楽は入れなくても、この、しっかりしたNAさんだけでいいのにな」と極論を思ったことも。


あの時、もう少し自信をもって提案の言葉を強めれば良かったかなとも思いますが、しかし、時が過ぎ、新たな陽の目を見ることになる作品の数々を見てみますと、


NGを頂いたから、お陰でこれらの作品ストックが出来たことに、何も無駄な出来事は無かったんだ!と思えるようになりました。


▶30年前に制作した、特に1988年~1992年頃の作品を中心に、演奏は当時のシンセサイザーは使用していますが、


他は殆どアナログ楽器。昨今のようなデジタル編集機器などは高価で、古い仕事場には、やはり古い16chのアナログオープンテープMTRと、マスターは6ミリテープのオープンテープレコーダー。


初期のProToolsはありましたが、使用する頻度はいたって低かったです。面倒なほど難しく、覚える時間がなかったわけです。その後、10年くらい時間がかかりました。


日々、オープンテープを切り貼りの、スプライシング作業。もちろんこれらもあの時代は高価で、5年リースで四苦八苦。懐かしいです。



▶空き時間に、コツコツとNG作品を新しくしている私たちの姿は、まるで、ピノキオを作るジイサンになったような、そんな感じです。


P/D Karasawa

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